創作物語によっては、実は私が長い間構想を練ってきた世界観というか、設定があるんです。
こういう内容はあまり書くべきじゃないかもしれないんですが、もし興味があるとか、物語の内容についてより詳しく知りたいとか、或いは此処で知った上で物語を読みたいとか、思う方がいらっしゃるようでしたら読んでみてもいいかもしれません。
但し、全ての作品にこの世界観が当てはまるわけではありません!

  ~INDEX~
  ◆ 魔術って何?
  ◆ 「獣人」ってどんな種族なの?
  ◆ 「獣人」と「真人間」は共存が可能なのか?本当に同じ人類なのか?
  ◆ 魔術師ってなんなの?(これまでの説明を踏まえて)
 ◆ 魔術って何?

魔術とは何か。いろいろありますよね。呪術みたいな怪しい術だと言われたりファンタジー小説や映画で見るような不思議な力だったり……。私の作品では専ら後者です。いつか前者を扱う日が来るかもしれませんが、その場合はこれからお話しするネタは一切関係なくなります(物語の世界が異なる)。魔術というのは人類(特にホモ・サピエンス)が潜在的に保有する特殊な力、すなわち魔力を使ってなす術のことです。どういう種類があってどんな目的で使われるのかは、ここで全部話してしまうとネタバレになるので物語でご確認くださいwwww
ただ軽く説明すると、一般の科学の知識では一筋縄に説明できない能力だと考えてください。
しかし、人間だけにそんな魔力があるのはおかしいと思いませんか?勿論、人間は他の生物にはない多くの特徴を持っています。
でもそれらは祖先から長い歴史の間で受けついできたものの延長線上にあるんです。例えば人間の特徴といえば言葉を操ることですが、それをもたらしたのは発達した脳と喉の構造です。同じように、人間に魔力があるならそのもととなるようなものを祖先の生物が持っていてもおかしくはないわけです。魔術が存在する世界では、人間の魔力に似たような潜在的な特殊な力を、脊椎動物ならどの種も持っているというのがその世界の仕組みです。勿論、無脊椎動物や原生生物にもそういったものがないわけでもないでしょうが、あまり発達していないのか確認されていないようです。脊椎動物が保有する潜在能力は種固有であり、それらは彼らが生きるための手段として用いられています。ただ、そう聞いて私たちが期待するほど甚だしい力を発揮するかというと意外にそうでもなくて、かなり地味で一見わからないものです。

人類は今から700万年前に誕生したと言われます。その長い歴史は過酷極まりないものでした。その上で自分の身を守り仲間と助け合い、自分たちの道を切り開くために、人類は脳を巨大化させて知能を発達させると同時に、人類特有の潜在能力も発達させたと考えています。

 ◆ 「獣人」ってどんな種族なの?

魔術が存在する世界にはほぼ必ず「獣人」がいます。UMAじゃないですよwwwww
簡単に言うと彼らも人類です。もっと突き詰めればホモ・サピエンスです。なぜそう言えるのか?
前の説明で人類には魔力があるとお話ししましたよね。全員ですよ全員。その魔力の使い道の結果「獣人」が誕生したんです。
人間の魔力の使い方には大きく分けて2つあります。これが見た目の違いを引き起こしたんです。
「獣人」は、特定の環境に特化するために魔力を体の変異に用いました。そのため結果として動物みたいな姿になったわけです。このため、彼らが自分で使うことのできる魔力は弱くなり、体への負担も大きいため子孫を残せる確率が低くなりました。
一方、普通の姿の人間の方(通常「真人間」と表記される)は、魔力を道具として使うことを選択しました。そのため特定の環境に特化することは不可能でしたが、幅広い環境にそこそこ適応できます。体への負担がないため人口が増加しやすいはこちらの方でした。
氷河期が終わりを告げて温暖な気候なると(それでも実は現在は「間氷期」と呼ばれる時期で、また1万年後には氷河期が復活するようですが…)、繁栄したのは「真人間」のほうでした。また、文明の発達も「真人間」のほうがスピードが速かったのです。「獣人」は特定の環境、すなわち自然界と馴染むような暮らしを選択したため、文明の発達は「真人間」ほどには促されなかったのです。

 ◆ 「獣人」と「真人間」は共存が可能なのか? 本当に同じ人類なのか?

なぜこんな見出しをつけたかというと、「獣人」の説明で皆さんはいろいろな疑問が浮かんできたと思うのです。
「響きがすごく違う種族っぽいけど?」
「両者が結ばれて子どもをもうけることは出来るのか? もしそうならどんな姿?」
「こんなに性質が違うなら現代社会とか共存できるわけ?」
「同じ人類なら基本的人権も平等にあるんですよね?」 etc…

そういった疑問に答えるべくここでは順を追って解説していきます。
まず「響きがすごく違う種族っぽい」という件について。先ほどから皆さん、両者の説明においていちいちカギカッコがついているのを鬱陶しいとは思いませんでしたか?
「獣人」「真人間」って……。獣人とか真人間って書けって思いますよね?
物語の説明でもいちいちつけているのをご覧になった方もいると思いますが、これは強調ではないんです。そう呼ばれているという意味なんです。
実はこの表記は「旧式」なんです。アメリカ先住民を「インディアン」と呼んだりイヌイットを「エスキモー」と呼ぶのが差別語であるように、「獣人」「真人間」という呼び名も実は差別語なんです。
物語の世界も今は私たちの世界と同じ21世紀。グローバルになり国際社会も存在します。20世紀後半から人権活動が活発になってきたのも同じです。現代において、両者の呼び名は異なります。「獣人」はトランス型、「真人間」はツール型と呼ぶのがイマドキです。
なぜこの呼び方なのか。その理由は前の説明でもありましたが、トランス型は魔力を自身の姿を変えるのに使った(transform)のであり、ツール型は魔力をあくまで道具として使った(tool)からです。また遺伝子が発見され遺伝子解析が進むと、両者のゲノム(多くの遺伝子が集まって生命活動を営むための一組の遺伝子群)が調べられました。その結果あんだけ見た目が違うのに両者はまったく同じ人類、ホモ・サピエンスであることが判明したのです。
(追記:実際の話ですが、ホモ・サピエンスとチンパンジーのゲノムの違いはわずか1.2%しかないそうです)
ならば両者の間で子どもを産むことも可能!という話になるのですが、さて一体どっちのタイプで生まれてくることやら…。
以前の設定ではツール型が優性(受け継がれやすい)、トランス型が劣性(受け継がれにくい)としましたが、そうなるとただでさえ子孫を残しにくいトランス型は絶滅の一途をたどるじゃんということになり却下しました。
新しい設定では、「どちらのタイプになるかはハーフ&ハーフ」ということになっています。間違っても合いの子はあり得ません。なぜなら多少なりとも体に変異があればそれはトランス型だからです。

最近「エピジェネティックス」という言葉を耳にしたのですが、(参考→ HTTP://diamond.jp/articles/-/16066)これは何なのかというと、たとえば遺伝子A,B,Cがあってもそれだけで形質や性質は決定しないってことなんです。それらの遺伝子の量や働くタイミングによって生まれる形質や性質は異なってくるということです。私がこれを知ったのはTVでギンギツネの家畜化の過程を研究する番組を目にしたときでした。家畜化が進む(人に馴染む)ほど形質に多様性が生まれてくるということでしたが、この理屈はトランス型とツール型の進化の過程や子孫を残すメカニズムを考えた時に大いに参考になるのはないかと思いましたwwwww
だから両親の遺伝子の受け継ぎ方によってはトランス型もツール型も生まれてくるということなんです。考えてみれば両者の違いはたかが魔力の使い方なので、魔力を働かせたり制御したりする遺伝子の量が違ったり働くタイミングが異なれば、体を変異させるか能力として温存させるかは簡単に変わってきますよね。

 ◆ 魔術師ってなんなの?(これまでの説明を踏まえて)

さて、散々遺伝子の話をさせられてもうイヤだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、此処まで読んでひとつ疑問が残っている方がいらっしゃるのではないかと思います。
それは、人類には(使い方は異なれど)みんな魔力があるっていうなら、誰でも魔術師になれちゃうのではないか?という点です。
世間の多くのファンタジー作品では、魔力のある者が魔術を使うから魔術師なんだと描かれているようです。なのに、私の作品の世界では人間みんな魔力持ってるなんて言ってしまっています。
結論から先に言うと、答えは「可能」です。ただし、魔術師とはなんなのか、ここでしっかり確認しておく必要があります。物語の世界では魔術師というのは普通の人よりもずっと魔術の鍛錬をし、魔力を研ぎ澄ませてそれを使うことを生業としている人々を言います。
文明も発達すると、人もだんだん自身の魔力を全力で使わなくても良くなるんですね。便利な道具が生まれてそれに頼ることで人の脚力や視力、方向感覚や警戒心がだんだん鈍るのと同じですよ。また魔力の強さには個人差があるため、魔術師になるような人は比較的持っている魔力があらかじめ強いというのもあると思います。



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